所長ご挨拶
一張一弛 ~ゆとりある開拓の精神に学ぶ~
新入生の皆様、入学おめでとうございます。
2024年1月1日、16時10分、能登半島沖でマグニチュード7.6の大地震が起きました。令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々に、謹んで哀悼の意を表します。茨城県でも2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震により、多くの犠牲者を生みました。私たちは決して忘れることはありません。度重なる天災の中で、学べる幸せを噛みしめたいと思います。
さて、放送大学は「生活と福祉」、「心理と教育」、「自然と環境」、「人間と文化」「社会と産業」、「情報」と、6つのコースで幅広い教養を学ぶことができます。全国57カ所には学習センターやサテライトが設置され、教員との対面で学べる面接授業が開講されています。茨城学習センターは茨城大学水戸キャンパス内にあり、約1,000名の皆さんが面接授業、学習相談はもとより、客員教員や元所長・所長によるゼミに加わり、さらに様々なサークル活動にも参加されています。このように、学生の皆さんは親睦を深めながら、多面的な学びを楽しんでいます。また、一般市民に開放されたライブラリー講演を年10回、茨城県立図書館で開催しています。地域で働き、生活し、地域の活性化にも取り組み、茨城の地から世界を見渡す広い視野の獲得を目指します。
茨城学習センターに来られたら、第九代藩主徳川斉昭が創設した弘道館と偕楽園へぜひ訪れてみて下さい。天保12年(1841)、15歳から30歳の藩士(40歳まで学習可)とその子弟が幅広い分野を真摯に学び、新たな世界を切り開く人材の育成を目指した藩校弘道館が開校します。翌年には、武士のみならず領民の憩いの場としても徐々に開放され、そして殖産興業の試験場でもあった偕楽園が開園します。張り詰めた雰囲気の中で学ぶ一張の弘道館、心を和ませる一弛の偕楽園、両者は二つで一つ、不可分の関係でした。斉昭は、ゆとりある開拓者の精神を藩士に育もうとしたのでしょう。斉昭の人材育成の精神に学び、茨城学習センターではこれからも様々な取り組みを行ってまいります。
放送大学茨城学習センター所長
小野寺 淳