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放送大学
千葉学習センター

所長ご挨拶

2024年4月に放送大学千葉学習センターの所長に就任いたしました高橋浩之です。よろしくお願いいたします。

私は2023年3月まで千葉大学教育学部で勤務しており、健康教育学を専門とし、主として養護教諭や保健体育教員の養成にかかわってきました。放送大学においては、2018年から、当時、所長であった宮野モモ子先生のお誘いにより面接授業「リテラシーとしての公衆衛生学」を担当させていただいており、2023年からは前所長の片岡洋子先生からのお誘いでミニゼミ「保健の授業を学び直す」を開かせていただいています。とは言うものの放送大学は修学の形態や学生の多様性などの面で千葉大学やその他の大学と大きく異なるところがあり、当面、学生の皆さんと一緒に学びながらの勤務になると考えています。

 学ぶということに関してですが、学生の皆さんは何のために学んでいるのでしょうか。学士などの学位を取るため、教員免許状を取るため、認定心理士など、その他の資格を取るためという方も多くいらっしゃるでしょう。また、仕事や生活の上で役立つ知識や技術を獲得するためという方もいらっしゃるでしょうか。もちろん、それらは人間の築いてきた文化を継承するという意味で学ぶことの本質にかかわることでしょう。しかし、私自身が学ぶことに関して一番感じるのは楽しみということです。今でも思い出すのですが、私は理科系の学生だったにもかかわらず大学で最もと言って良いほど楽しみだった授業は放送大学の教授もされた笠原一男先生の日本史でした。笠原先生が学生の拍手を浴びながら壇上に上がり、浄土真宗に関して語り始める一瞬が昨日のように思い出されます。また「大変な修行や大きな功徳など必要なく、ただひたすらに南無阿弥陀仏と唱えれば極楽に行けるという教えに宗教の本質があるのではないか」という先生の言葉に衝撃を受けたことも記憶に残っています。

 当たり前のことかもしれませんが、私は楽しいことが大好きな人間です。昨年度は、念願のH2Aロケットの打ち上げを種子島まで見に行ったり、これも興味があった旭山動物園に行ったりと旅行を楽しみました。日常ではテニスクラブに通い、囲碁・将棋、テレビゲームも大好きです。しかし、多くの楽しみの中でも最近大きな割合を占めているのが実は放送大学の授業なのです。今までまったく関心がなかった政治学に、これは前から関心があったローマ帝国の話が入り口になって興味を持ちはじめ、いくつかの授業を聞かせていただいています。自宅にいながら、その世界で一流の高い見識を持った先生がわかりやすく話をして下さるというのですから、こんなに素晴らしいことはありません。

 おそらく人間という生き物は進化の過程で、生きるために役立つ知識や技術を得る学びに喜びを感じるようになったのではないでしょうか。現代では多くの人が、役に立つということとは別に、学ぶこと自体に楽しさを感じるようになりました。しかし、それは、ある程度の豊かさと平和がなければ実現しないことを忘れてはいけません。是非、学生の皆さんにはその許された幸せを感じつつ、学問の世界に没頭して欲しいと思います。私自身は、笠原先生のように皆さんに知的な楽しみを与えられるよう授業、あるいは、学習環境づくりという面で努力を続けたいと考えています。

2024年4月

千葉学習センター所長
高橋 浩之

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