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放送大学
奈良学習センター

所長ご挨拶

 2025年4月に所長に就任した野村鮎子と申します。専門は中国文学・中国女性史/ジェンダー史です。

 漢の劉向(りゅうきょう)が編んだ説話集である『説苑(ぜいえん)』という書物に、次のような話が載っています。春秋時代の晋の平公が、あるとき側仕えの楽師である師曠(しこう)に向って、「わたしはもう七十だ。これから学びたいがもう暮年で遅すぎるだろうね」と言ったそうです。すると師曠は「遅すぎて日が暮れるというのならあかりをつければいいじゃありませんか」と答えました。臣下に答えをはぐらかされたと思った平王は少しむっとします。それに対して師曠は「若くして学を好むのは、朝の陽光のようなもの、壮年で学を好むのは、日中の光のようなもの、年老いて学を好むは、燭をともした明かりです。燭のあかりでも暗闇を進むよりはずっとよろしいのではありませんか」と応じます。平王はこれを聞いていたく納得したのだとか。

 この逸話は、若者や壮年はもちろんのこと、また年配者であっても、学ぶことは人間にとって暗闇を払う光明であることを意味しています。学ぶことに遅すぎるということは決してありません。かくいう私も大学を卒業してから6年後に大学院に入学しました。まだ関西には放送大学の学習センターもなく、大学院にも社会人入学という制度がない時代でしたので、定時制高校教員と大学院生の二足のわらじで大忙しでしたが、今振り返ってみると、誰に強制されたわけでもない学びの時間は、人生最大の愉悦の時でした。

 放送大学は、英語ではThe Open University of Japan といい、その名の通り、学びを求める方に開かれた大学です。実際に幅広い年齢、多様な職業の方が学んでいます。学部において約400科目が開設されており、Web(オンデマンド、オンライン)・テレビ・ラジオの中から自分に合った授業形態で、系統的・組織的に学ぶことも、分野横断的に学ぶことも可能です。さらに、全都道府県には学生の拠点として学習センターが設置されており、みなさんの学びをサポートしています。奈良学習センターでは、奈良の風土や文化、歴史を学ぶためのフィールドワークをともなう講義や実験実習の授業に力を入れています。

 本センターには、所長以下7名のスタッフと8名の客員教員がいます。所長と客員教員はそれぞれの専門分野のゼミナールを毎月開いています。放送大学の授業を体験してみたいという方は無料で参加できます。

 奈良学習センターは近鉄奈良から徒歩8分、旧鍋屋交番きたまち案内所を通り過ぎて120mほど北の奈良女子大学コラボレーションセンターの3階にあり、交通至便です。2年後の2027年にはセンター開設30周年を迎えます。ぜひ、ここでみなさんの人生に光明を投じていただきますようお待ちしています。

(更新日 2025.4.1)

放送大学奈良学習センター 所長
野村 鮎子

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