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放送大学
福岡学習センター・北九州サテライトスペース

所長ご挨拶

「みえない影響に注意」

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 本格的な盛夏到来となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。コロナ禍も長い長いトンネルが続き、なかなか光がみえません。今学期こそは対面の面接授業をと意気込みましたが、それも5月の連休まででした。ただ心理学実験と心理検査法基礎実習だけは何とかすべて対面で実施できたのが救いでした。敢行していただいた講師やティーチングアシスタントの先生方に深く感謝いたします。
 面接授業までがweb切替になると、すべての授業が座りっぱなしの姿勢になります。さらにコロナ禍のテレワークが重なれば、一日中座りっぱなしになりかねません。ヒトはそもそも直立二足という姿勢に適応しました。そのためのひとつの手段として脊柱がS字に湾曲したわけですが、座るとS字の腰の部分の湾曲がフラットになります。このとき、楔型の椎間板の厚みのある部分(お腹側)が上下から圧迫され、椎間板の中では背中側へ強い圧力が働きます。その力はイス座では立位のときの約1.5倍になります。健康な人では何も感じません。しかしイス座が長時間、毎日、何年も続くうちに、ついには椎間板の背側が突出するヘルニアを起こすことさえあります。ときどき休憩をはさんで動き回るのは気分転換だけではなく、腰痛防止にもなります。
 テレワークで気になるのは概日リズムです。これは自然光の明暗に合わせた約24時間の周期をもつリズムです。これによって日中は活動的に、夜間は休息とエネルギー節約という生体内のリズムができて、日々の暮らしを快適にしてくれます。そこで心配なのは、数万ルクスから暗闇までのメリハリをもつ自然光ではなく、せいぜい200ルクス程度の屋内の一定の照明のもとでは、私たちの概日リズムも曖昧になることです。"概日"とは"約"という意味で、多くの人は24時間よりやや長めの周期をもっています。そこで、私たちは適応的に朝の強い光を浴びて24時間にリセットしています。一方夜の光については、私たちが適応した狩猟採集時代の環境では明るい光はありませんでした。現代のような夜間の人工照明に曝されると私たちの概日リズムは遅い時間の方へ位相がズレてしまいます。コロナ禍ではついつい夜更かしをしがちです。その分、天井照明をはじめ、テレビや携帯などのディスプレイからくる光はますます夜更かしの方へリズムを遅らせ、その分寝坊して朝の強い光でリセットするチャンスを逃し、しかも屋内の光を浴びてもリセットするには不十分になりがちです。この悪循環は夜型人間をつくることになります。
 座りっぱなしの腰への負担も、屋内の光のもとでの概日リズムの変調も、いずれも体に感じない影響です。ぜひ、長時間の座位作業では意識的に定期的な休憩を入れ、午前中は気晴らしに買い物などに出かけて自然光でリズムをしっかりリセットし、夜更かしをせずに規則正しい生活リズムを維持することが肝要です。猛暑、在宅、コロナ禍をなんとか乗り切りましょう。

 

令和3年7月25日 福岡学習センター所長
安河内 朗

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