所長ご挨拶
「秋の学びと紅葉魅惑」
10月に教養学部および大学院文化科学研究科にご入学された皆様、おめでとうございます。また在学生の皆様、新たな気持ちで勉学に取り組みましょう。
さて、今年は日本全国および世界的にも非常に暑い夏でした。やっと酷暑も終わり、秋がやってきました。美味しい収穫物を味わい、勉強にスポーツに活動的な季節が始まります。ところで、秋といえば美しい紅葉ですが、そのメカニズムを化学の言葉で説明しましょう。紅葉する葉は元々緑色のクロロフィル(葉緑素)と黄色のカロテノイドという成分を持っています。春から夏には活発に光合成を行うので、光合成色素のクロロフィルの緑色が見えます。秋から冬にかけて光合成は減衰していき、不必要となった葉は落葉します。その準備段階として徐々にクロロフィルを分解するので、緑色から黄色へと変化します。一方、光合成で作られたグルコースが生合成経路を経てアントシアニンという赤い色素に変化し、紅葉が見られることになります。葉っぱの中での化学変化がグラデーションとなり、私たちの目を楽しませてくれるのです。
福岡市とその近郊でも、多くの紅葉の名所があります。呑山観音寺(糟屋郡篠栗町)、竈門神社(太宰府市)、秋月城跡(朝倉市)、雷山千如寺大悲王院(糸島市)、紅葉八幡宮(福岡市早良区)などが有名です。いずれも今秋に是非訪れたい紅葉の名所です。個人的には、太宰府天満宮の近くにある光明禅寺も薦めたいのですが、最近は不定期の公開のようです。重森三玲作庭の枯山水庭園も素晴らしく、庭園と紅葉のコントラストが見事です。それぞれの寺社仏閣の歴史や庭園などについて調べるのも楽しいものです。
是非この季節に紅葉を楽しみ、さらにその科学的なメカニズムにも思いを馳せて自然の精緻なシステムを感じて頂きたいと思います。学びは生活のいたるところにあります。紅葉に魅惑されつつ、秋の学びを意欲的に進めていきましょう。
放送大学での学びでは、卒業や資格取得を目指す際には、計画的に学習し単位を習得することが大切ですが、ややもすればそれは孤独で自己制御を必要とする活動になりがちです。視野を広げて、自分の専門科目以外にも面白そうな科目を遊び心で習得することは、知識や人間の幅を広げる素晴らしい機会です。学習センターは学生の皆さんをサポートしますので、履修相談にもセンターやサテライトを是非活用して下さい。
令和5年10月1日 福岡学習センター所長
久枝 良雄