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放送大学
沖縄学習センター

所長ご挨拶

私は、平成20年から平成25年の5年間、放送大学沖縄学習センターの客員教授で心理学関連科目の面接授業とゼミを担当させて頂きました。当時の私にとって、放送大学での講義は大変有意義な機会でした。高校卒業したての若い学生に教えることと、放送大学の成人を中心とした学生たちに教えることはまるで違うのです。人生経験を積んでいる学生には、知識の教授だけでは満足できないことを知らされました。学生ばかりでなく私の方も改めて心理学を勉強する必要がありました。私にとっての放送大学5年間は、自分の専門の学問について、再度問い直す貴重な期間でした。

さて、私の専門領域は、心理学の中でも,人の脳と心の関係を解明する臨床神経心理学という学問です。神経心理学の接頭にある臨床とは、脳と心の問題を実験的手法で研究するのではなく,脳に障害を呈した方、乳幼児や高齢者の方々を対象とした、実践的な研究を意味します。

私は現在、上に述べました対象の人々の生涯発達における脳と心の推移について研究をしています。いわゆる乳幼児の脳と心の発達から、認知症領域の高齢者の脳の変化と心の変化まで、人間が生まれてから死に至るまでの過程について、臨床神経心理学の観点から捉えています。

ところで、心理学者マズローは、最も高次な欲求を自己実現の欲求と位置づけています。マズローの考えによれば、自己実現に至る人生を送ることが、人として一番幸せな生き方といえます。私の人の発達過程の捉え方は、自分の人生に対して満足感を得るような生き方とはどんな生き方なのかを、脳の発達と精神の発達の両輪からみていこうとするものです。従来の生涯発達心理学では、脳の発達の視点が欠如していました。心の変化には必ず脳の変化が伴っているわけですから、心の変化と脳の変化を並行して同時にみていくことが重要になってきています。

アメリカではオバマ大統領自ら、21世紀は脳の時代と宣言し、多くの国家予算をその研究に投入することを宣言しました。アメリカの心理学会も医学に負けじと、心と脳の研究を中心とした臨床神経心理学分野の研究が盛んになってきました。

放送大学の皆さん方と共に、自己のポジティブな人生の再思再考のため、心理学の新しい動向を見据えて、一緒に勉強していきましょう。

沖縄学習センター 所長
富永 大介 (専門:臨床神経心理学)

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