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放送大学
沖縄学習センター

所長ご挨拶

放送大学沖縄学習センター長を担っています 川本康博です。

 私は、平成時代の31年間、沖縄学習センターが所在する同じキャンパスの琉球大学で勤務しておりました。そして、令和の時代に入り、新規一転、ここ沖縄学習センターで勤務することになりました。
 本センターは、2020年でちょうど創立30周年を迎えました。この30年間、歴代の教職員の皆さまが築いてこられた「学びの場」を継承すると共に、沖縄学習センターの目的である「新しい高等教育システムの生涯学習機関として地域貢献する」という理念と軌を一にして次の30年に向けて歩み始めているところです。
 ここで、自己紹介を兼ねて、私の専門領域である農学について少し紹介させて戴きます。
 農学は人間の暮らしの基本(衣食住)を支え、社会の安定性と持続性に寄与する学問とされています。その中で特に、草地畜産学を専門としています。地球の陸地面積は130億haありますが、その約25%が草地(グラスランド)です。森林の次に広い面積を占めています。ここでの主な産業は畜産です。草地の牧草を家畜に利用してもらい、タンパク質生産を主体とする農業です。主な対象は反芻家畜(牛、羊、山羊等)になります。また、家畜の糞は土壌に還元されますので、土壌--植物--家畜の生態系で生物多様性に調和した物質循環を構築しているため、農業の中でも、特に永久農業と言われています。このようなコンセプトに裏打ちされた草地畜産の教育研究を行って来ました。
 草地畜産は将に、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)を地で行く学問です。ちなみに、沖縄県の農業粗生産額(H30、990億円)の約半分は畜産、そのうち5割が肉用牛生産です。ですが、SDGsに沿った経営がなされているとは言い難い状況もあります。
 尤も、本邦で一年中牧草だけで飼育可能な周年放牧ができる草地と環境があるのも沖縄だけです。沖縄が熱帯・亜熱帯の草地畜産の拠点となるような種々のアプローチを行って来ました。

 沖縄学習センターも2019年度、「SDGsを踏まえ、将来を担う人材育成や沖縄の未来を開く多様性」をテーマにシンポジウムを開催し、新たな時代に向けた取り組みがなされています。
 放送大学は教養学部教養学科の単科大学で6つのコースがあります。ここでの「教養」は単なる一般教養ではなく、卒業要件の124単位には、幅広く深い教養を身につける「リベラルアーツ」と新たな時代に適応して生き抜く総合力「コンピテンシー」を包含しています。
 通常の4年生大学と異なり、放送大学の学生は社会人を中心とする多様な人材が多いのが特徴です。また、年齢層も沖縄学習センターを例にとると、平均年齢は約45歳です。また、女性の比率が7割を占めているのも特徴です。
 今日、人々の暮らしや世の中の仕組みが変化する中で、我々の生き方、考え方、学び方、働き方などにおいても大きな変革が求められ、「知識集約型社会」の方向へ進んでいます。本学で修学された「教養」が仕事上あるいは社会の中での実践力に繋がる場面が多いと思います。本センターはこのような皆さんに、より良い「学びの場」を提供し、心豊かな暮らしに繋がるための支援体制を一層推進すると共に、私自身も皆さんと一緒に生涯学習に取り組みたいと考えています。どうぞ宜しくお願いします。

沖縄学習センター 所長
川本 康博(農学博士・専門分野:草地畜産学)

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