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放送大学
熊本学習センター

教員紹介

 学習センター所長と客員教員による学習相談を毎月行っています。スケジュールや相談の予約については、このホームページの「お知らせ」一覧から『学習相談カレンダー』をご覧ください。在学生のみ参加できる面接学習(愛称:サブレ)についても、このホームページの「お知らせ」に開催予定を掲載してお知らせします。
     

谷 時雄
専門:分子生物学

熊本学習センター所長、熊本大学生物環境農学国際研究センター特任教授

 私の専門は分子生物学で、大学院生の頃から40年以上、RNAについて研究を進めてきました。今でこそ、RNAは新型コロナウイルス(RNAウイルス)やmRNAワクチンで皆さん方にも良く知られるようになりましたが、研究を始めた頃は、遺伝子の本体であるDNAに比べて、一般にはなじみの薄い研究分野でした。実は、RNAには遺伝情報を運ぶ以外にもたくさんの役割が見つかっていて、いくら研究しても謎は尽きず、いつしか、私にとってRNAは生涯に渡って追い求める研究テーマになりました。今まで、毎年多くの学生さん達と、研究室で朝から晩まで、共にRNAの実験をしてきました。学生さん達は、主体的に自分で考えて行う研究を通して、こちらが驚くほど、いつも大きく成長していきました。放送大学で、皆さんと一緒に、新たな知見を学び、それらを活かしていく学びの空間を共有することで、皆さんが成長していく手助けをできればと思います。

稲葉 継陽
専門:日本史学

熊本学習センター客員教授、熊本大学教授

 私の専門は日本史学、その中でも特に戦国時代から江戸時代初期までの社会経済や国家を対象とした研究です。
 みなさんは、現在の熊本県の大半が江戸時代には熊本藩の領地で、熊本城を造った加藤家は早くに改易され、その後、廃藩置県まで長く細川家が藩主をつとめたことをご存知でしょう。熊本には、その細川家や家老の松井家、さらに地域の庄屋層の家に蓄積された膨大な歴史資料(古文書など)が存在します。これらを駆使して研究を続けています。
 あらためて世界史の年表を見てみましょう。1618年に勃発した三十年戦争から、19世紀はじめのナポレオン帝国の形成・崩壊まで、同時代のヨーロッパは戦争つづきでした。しかしその間に、日本では内戦も対外戦争も凍結維持されていたのです。この特殊な長期平和を「天下泰平」といいました。天下泰平は戦国社会(内戦)の中からどのようにして生まれ、それを維持する真の力は江戸時代の社会のどこに存在し、私たちに何を教えてくれるでしょうか。みなさんと一緒に探求したいと思っています。

大河内 彩子
専門:保健学

熊本学習センター客員教授、熊本大学教授

 保健・医療・福祉・教育などの分野で、発達障害や虐待が「気になる子ども」が増えています。「気になる」の段階から子どもや親に適切な支援が行えるように、専門職やまわりの大人がちょっとした気づきを発揮できることが重要です。乳幼児健診、病院外来、歯科外来、保育園・幼稚園、学校、あるいはご近所で、子どものSOSに気づき、手を差し伸べるための方法をお伝えします。発達障害は近年、診断基準の改訂があり、従来の定性的評価に加えて定量的評価が重要になっています。虐待やいじめの問題は要因の連鎖や連携の難しさがあり、ますます複雑になっています。これらの課題解決に向けて、VR教室を用いた視線追跡や尺度開発、面接調査、前向き子育てプログラムトリプルPを行っています。実践と研究に関する最新の知見を学び、親子の育ちを引き出す工夫を一緒に考えましょう。

慶田 勝彦
専門:文化人類学、東アフリカ民族誌、<水俣病>事件アーカイブズ

熊本学習センター客員教授、熊本大学教授

 グローバル化する現代社会・文化・歴史・政治・宗教などの多元的交差性を文化人類学・民族誌研究で培った思考と方法で探究しています。教育面では、学内外で文化人類学、現代文化論、文化遺産論、記憶遺産論、現代文化資源論などを担当し、幅広いトピックについて学生、院生たちと一緒に考えてきました。地域的には、これまで東アフリカ・ケニア海岸地方との研究連携を英国社会人類学者、ケニア人研究者、イタリア人映像作家等と推進してきましたが、最近は学内のプロジェクトでもある<水俣病>事件アーカイブズ研究に新たな地域研究の可能性を感じています。また、映画、写真、音楽(ロック、ブルース、ヒップホップ、ラップ、アフリカン・ポップス)、そして博物館・美術館めぐりなども私にとっては人類学の魅力の宝庫です。みなさんと面白い「問い」をたて、その「問い」に各自が異なる答えを見つける人類学的思考の旅ができれば嬉しいです。

小池 ウルスラ
専門:ドイツ語教育・ドイツ社会文化史

熊本学習センター客員教授、熊本大学教授

 私はドイツ語教育・社会文化史に関して、30年間以上日本の国立大学で教鞭をとっております。現在、熊本大学多言語文化総合教育センターで、Multidisciplinary Studies とドイツ語のコースを担当しております。Multidisciplinary Studiesは英語で実施され、熊本大学のグローバル化を象徴する科目です。仕事を通じて、日頃、異文化コミュニケーションの円滑化に努めております。
 スイス・チューリヒ大学文学部日本学科の出身として、日欧文化の比較に興味を持っております。日本近代史を研究しているうちに、中央ヨーロッパにおける近代国家の形成、言語と文学の国民統一などに関心を持ち、私のルーツであるドイツ語圏事情の勉強に取り込むようになりました。特にドイツの歴史は、ドラマチックに感じます。ドイツという国は、神聖ローマ帝国からEU統合まで、1200年にわたる栄光と挫折の起伏に富んだ道のりを歩んできました。私の母国のスイスは、隣国でありながら、中世以降にまったく異なる形での発展を遂げました。
 過去・現在のヨーロッパとドイツ語圏にご興味のある方は、お気楽にお声をお掛けください。

古賀 香代子
専門:臨床心理学

熊本学習センター客員教授、九州ルーテル学院大学教授

 私の専門分野は臨床心理学です。実務経験が長く、主に精神科病院で仕事をしてきました。精神科病院の心理業務全般と3歳児乳幼児健診、療育心理相談、スクールカウンセラー、災害支援の心のケアが主な実務経験として挙げられます。治験や精神鑑定のための心理検査の他、SST、リワーク等に携わり、現在の関心の中心はマインドフルネスです。うつ病の治療グループやハコミセラピーで実践しています。
 大学を出た当時はなかった、臨床心理士、精神保健福祉士、そして公認心理師の資格を、仕事をしながら取得しました。初めに職場の要請で精神保健福祉士資格を取得し、主に精神障害者の地域生活支援を行いました。本来病院心理の仕事でしたから、一念発起し臨床心理士となり、職場を変え、放送大学の大学院で学び直しました。以来、熊本学習センターには学生として通っており、学びの場での出会いにいつも支えられています。このような私の経験を通して皆さんのニーズに応えていきたいと思います。

中野 裕司
専門:情報工学

熊本学習センター客員教授、熊本大学教授

 少し前までは、インターネット利用はパソコンが主流でしたが、今やスマホやタブレットをお使いの方のほうが多いかもしれません。さらに、スマートスピーカーやスマホにむかって「アレ...」「ねぇ...」「ヘイ...」などと話しかけている方も多いのではないでしょうか。これらの機器は、基本的にはインターネットに接続されたパソコンとほぼ同じ構造をしていますが、キーボードやマウスで操作するのではなく、指でなぞったり、声で操作したり、より簡単・便利に使えるようにすることで、短期間に広く普及してきました。このように、既に情報技術は日常生活に深く浸透し、それを豊かにしている反面、サーバー犯罪などの負の側面もあります。情報技術を学び、安全に活用するためのお手伝いができれば幸いです。

藤田 豊
専門:発達・学習心理学 、教育心理学

熊本学習センター客員教授、熊本大学院教授

 他者との関わりのなかで、人はどのように発達して行くのか、また教育は子どもの発達をどのように促進しうるのか、という観点から、子どもの認識の発達や学習の過程について研究を行ってきました。子ども同士の協働的な学びの過程において、他者(子ども同士、教師と子ども)との対話はどのように作用するのでしょうか。感覚運動的思考の段階にある幼児期の特長、具体的な操作を介して概念的理解の段階に至る児童期の特長、学習主体としての参加のあり様(メタ認知)が思考や課題解決をコントロールする青年期の特長を比較しながら、対話的な関係がもたらす発達的変化についても吟味・検討してきました。最近では、認知と情動の発達的関係にも関心を持って研究を進めています。「情動知能」に関係する自己の情動の認知、他者の情動の認知、ネガティブなストレス反応から生じる情動の制御など、情動発達とそれを支援する情動教育の関係についても明らかにして行きたいと考えています。

藤本 斉
専門:物理化学 ・分子科学

熊本学習センター客員教授、熊本大学院教授

 

「後冷泉院 天喜二年四月中旬以降 丑時 客星觜参度 見東方 孛天関星 大如歳星(後冷泉院、天喜二年四月中旬以降、丑時、客星觜・参の度に出づ。東方に見わる。天関星に孛す。大きさ歳星の如し。)」

藤原定家の明月記の中に伝承として記録されている1054年に現れた超新星、現在のかに星雲についての一節です。この客星の光は、超新星爆発に伴い荷電粒子、主に電子が加速度運動をしたために発生した光です。このような電子の光を地上で再現し、研究に利用している公開実験施設が、フォトンファクトリー、UVSOR、Spring-8など日本に7か所存在しています。九州にも佐賀県立九州シンクロトロン光研究センターが、日本で唯一県立の施設として鳥栖市に存在します。

この軌道放射光と呼ばれる電子の光に出会ったのは、博士研究員のときでした。以来三十数年、軌道放射光を使った光電子分光をはじめとする様々な分光法を用いて、分子性固体の電子状態と物理的性質の関係を調べてきました。研究に光を使うことから、身の回りの光と色にまつわる現象について考えてみます。

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